これからwebデザイナーを目指す方は、「好きなことを仕事にしたい」と思っている人も多いでしょう。
しかし、いくら好きだからといっても、懐事情も気にしないわけにはいきません。年収がどれくらいか、ずっとwebデザイナーで食っていけるのか、気になるところですよね。
今回は、現役webデザイナー50名の方々を対象に、独自のアンケート調査を実施しました。
このアンケート調査から、どのようなwebデザイナーが平均年収が高いのか、webデザイナーが年収をあげるにはどのようなキャリアを進むべきかについて客観的に考察してみました。
webデザイナーの平均年収を多角的に分析
求人サイト求人ボックスによると、webデザイナーの平均年収は430万円、その他地域別や男女別、年齢別などに平均年収が確認できます。


ただ、この平均年収の人がどのくらいのスキルや経験値をもっているのか気になりませんか?
実はこのデータには、どんなスキルをもってたら年収が高いだったり、中途や新卒で年収が違うのかだったりなど、これからwebデザイナーになりたい人やキャリアを考えている人が、本当に知りたい肝心な条件がわかりません。
というわけで、この記事のアンケート調査では、以下の項目を用意し、平均年収をより多角的に分析した上でどのようなwebデザイナーが平均年収が高いのか、年収をあげるためのwebデザイナーのキャリアについて考えてみました。
平均年収を多角的に分析するための指標
- 経験年数
- 仕事内容
- 勤務先の業態
- デザインツール
- 会社員かフリーランスか
- 新卒・中途
- 入社経路
全体のwebデザイナーの平均年収
webデザイナー50人のアンケート調査の結果、webデザイナーの平均年収は289.4万円でした。
また、最高年収は600万円、最低年収は100万円でした。

今回の調査では、フリーランスの方が30名、会社員の方が20名という割合なので、フリーランスの年収に偏ってしまったのもあると思います。
フリーランスの方を含めると、指標に関わりなく年収にかなりばらつきがでてしまったため、これから紹介するほとんどの指標別の平均年収は、会社員の方のみで分析しました。ではそれぞれの指標別平均年収を見ていきましょう。
経験年数別webデザイナーの平均年収(会社員のみ)
1年未満 | 340万円 |
1〜2年 | 308.3万円 |
2〜3年 | 381.7万円 |
3〜5年 | 380万円 |
5~10年 | 480万円 |
10年以上 | 450万円 |
経験年数5年を超えると給料が一気に上がるみたいですね。
調べによると、経験年数2年を超えたあたりからディレクションやマーケティングなどWebデザイン以外の職種をを兼任する人が多い傾向にあり、仕事の幅が広くなる=年収アップに繋がるといった感じでしょうか。
一方2年までは、年収は低いものの、業務はwebデザイン・HTML/CSSコーディングのみが多く、いわゆる下積み時代の期間中であるといえるでしょう。
仕事内容別webデザイナーの平均年収(会社員のみ)
webデザイン | 314万円 |
webデザイン+HTML/CSSコーディング | 334万円 |
webデザイン+HTML/CSSコーディング+WordPress構築 | 390万円 |
webデザイン+HTML/CSSコーディング+ディレクション | 385万円 |
webデザイン+HTML/CSSコーディング+マーケティング | 440万円 |
webデザイン+HTML/CSSコーディング+ディレクション+マーケティング | 400万円 |
webデザイン+HTML/CSSコーディング+フロントエンド+バックエンド | 400万円 |
webデザイン+HTML/CSSコーディングにもう一つ職種が加わると平均年収があがるようです。
ディレクションやマーケティングなどの上流に行くか、フロントエンドなどの技術を磨くかのどちらかの方向で年収アップが見込めそうです。
勤務先の業態別webデザイナーの平均年収(会社員のみ)
web制作会社 | 348.6万円 |
アプリ開発会社 | 300万円 |
システム開発会社 | 426.7万円 |
事業会社 | 401.7万円 |
システム会社での平均年収が最も高い結果に。
web制作会社が比較的年収が低いのは、おそらくwebサイトがかなり身近なものになってきたため、市場的に価格競争の段階まで成熟しているのが理由であると考えます。
単に製作するだけなら、素人でもノーコードツールでwebサイトをつくれますし、任せたいのであればフリーランスが破格の値段で請負ってくれます。
このような時代の流れから、web制作会社は高い技術力が求められるにもかかわらず、予算のないクライアントに値下げまでもとめられるジレンマがおこっています。
つまり、制作スキルがかなり高いにもかかわらず、年収が低いwebデザイナーもたくさんいるというわけです。
マーケティングなどの強みを持つ会社などは、制作後の費用対効果を売りにして付加価値を提供できますが、ビジュアルのクオリティを売りにしているような会社は、価格競争に逃げるしかありません。

スキルの高い制作会社のデザイナーがスキルの低い事業会社のデザイナーより年収が低いという不条理な事実もあります。
あくまで僕の体験上での話なので、web制作会社全般が上記のような状態にあるとは言いません。
ただもし、web制作会社に就職を考えている方は、その会社の制作以外での付加価値があるかどうかをしっかり見極めることが大事です。
デザインツール別webデザイナーの平均年収(会社員のみ)
Adobe Photoshop | 364万円 |
Adobe Illustrator | 420万円 |
Adobe XD | 400万円 |
Adobe Photoshop+Adobe Illustrator | 347万円 |
Adobe Photoshop+Adobe Illustrator+Adobe XD | 375万円 |
Adobe Photoshop+Adobe Illustrator+Adobe XD+sketch | 400万円 |
使用できるデザインツールが多いほど年収が上がるというわけではないようです。デザインツールはあくまで制作の手段なので、大事なのは完成物ということでしょう。
ちなみに、独学でwebデザイナーになった僕が考えるに、webデザイナーを目指す方が覚えるべきソフトは、PhotoshopとIllustratorで十分かなと思っています。
詳細は以下の記事にまとめていますので参考にしてください。
会社員・フリーランス別webデザイナーの平均年収
会社員 | 363万円 |
フリーランス(独立) | 262.3万円 |

広告でよく見るけどフリーランスwebデザイナーって儲かるんじゃないの?
フリーランスが会社員より稼げるというのは一応事実ではありますが、カラクリがあります。
会社員とフリーランスの平均年収の内訳を見るとわかりやすいです。
会社員の平均年収内訳
100~200万円 | 5% |
200~300万円 | 0% |
300~400万円 | 50% |
400~500万円 | 40% |
500~600万円 | 5% |
最低年収と最高年収
- 最低年収:150万円
- 最高年収:500万円
フリーランスの平均年収内訳
100~200万円 | 43.4% |
200~300万円 | 13.3% |
300~400万円 | 23.3% |
400~500万円 | 10.0% |
500~600万円 | 10.0% |
最低年収と最高年収
- 最低年収:100万円
- 最高年収:600万円
会社員は年収300~500万円がほとんどの割合を占めているのに対し、フリーランスは会社員より年収のばらつきが目立ちます。また、年収100~200万円の割合が多いため、平均年収ではかなり低いフリーランスですが、最高年収だけを見ると会社員よりも高い600万の人も存在します。
つまり、会社員より稼げるフリーランスは存在するがごく一部、それ以外は会社員よりはるかに年収が低いというのがフリーランスの現実とっても過言ではないでしょう。

新卒・中途別webデザイナーの平均年収(会社員のみ)
新卒入社 | 390万円 |
第二新卒入社 | 340万円 |
中途入社 | 374.6万円 |
以外にも中途より新卒の方が高い結果になりました。
新卒か中途かはあまり年収には影響しないのかもしれません。
入社経路別webデザイナーの平均年収(会社員のみ)
web業界とは無縁の異業種からwebデザイナーに転職した | 365万円 |
フリーランスwebデザイナーから会社員としてwebデザイナーに入社した | 320万円 |
前職はwebデザイナーではないがweb業界に属しており、webデザイナーに転職した | 460万円 |
前職もwebデザイナーで、同じwebデザイナーとして転職した | 450万円 |
会社員に限定した上記の調査では、前職でweb業界での社会人経験がある人は年収が高い傾向にあります。
面白いのは、現職前にフリーランスでwebデザイナーをやっていた方よりも、webデザイナーではないweb業界の社会人であった方の方が年収が高いことです。

「仕事内容別webデザイナーの平均年収」の結果からも分かるように、webデザイナーにプラスアルファのスキルをもつと年収がアップする傾向にあるので、前職ですでにweb界隈のスキルを持っているというだけで、webデザイナーとしての市場価値があがると考えられます。
アンケートからわかった年収が高いwebデザイナーの特徴
上記の指標別アンケート調査の結果から、どんなwebデザイナーが年収が高いのか分析してみたところ以下のような特徴を持っていると考えられます。
年収が高いwebデザイナーの特徴
- webデザイン・HTML/CSSコーディングに加え、WordPress構築やフロントエンド、バックエンドなどの専門的な技術をもっているか、ディレクション、マーケティングなどの上流過程に携わっている会社員、またはフリーランス。
- 前職でwebデザイナー、もしくはweb業界に属していた会社員
- システム開発会社、または事業会社に勤務している人
- 経験年数が5年以上
上記を満たしている人の年収は、少なくとも500万円以上は確実に届くでしょう。
一方で、いくらフロントエンドやディレクションを兼務していても、webデザイナーという肩書を背負っている以上、800万や1000万の領域には踏み込めないというのもわかりますね。

webデザイナーとして年収を上げていくには
年収が高いwebデザイナーの特徴がわかったので、webデザイナーとして年収を上げていくには以下の方法を選ぶ他ないでしょう。
スキルの幅を広げる
webデザイン・HTML/CSSコーディングスキルのみだと年収400万円以上は期待できないでしょう。
技術職としてやっていきたいのであれば、将来的にプログラミングスキルを身につける必要があります。また、ディレクションやマーケティング、UI/UXなどの上流過程のスキルを身につけることで年収を上げることも可能です。
上流過程のスキルは、会社に属していないとなかなか身につかないスキルなので、キャリアチェンジ、キャリアアップを目指す方には会社でしっかり技術を身につけることをおすすめします。
副業をする
本業での業務に加えて、副業収益があれば、合算で年収アップが見込めます。
かなり忙しくはなると思いますが、会社員として本業で安定した年収をもらいつつ副業でプラスアルファの年収を稼ぐ方が、フリーランスとして働くより安定した高収入が実現するのではないでしょうか。
副業がうまくいけば、年収1000万円も夢ではないかもしれません。
年収の高い会社に転職する
「勤務先の業態別webデザイナーの平均年収」でも述べましたが、制作スキルが高くても会社によっては年収が低いことはあります。
実務経験を積みたい、スキルアップしたいという理由で安月給の会社に飛び込むことは悪いことではないですが、ある程度スキルを身に付けたら、年収も視野に入れて早めに転職しましょう。

僕が年収アップのために活用した転職サイトや、webデザイナーの転職で成功するためのポイントについては、以下の記事にまとめてますのでよろしければご覧ください。
フリーランスになる
「会社員・フリーランス別webデザイナーの平均年収」で分かるように、フリーランスwebデザイナーとして稼げるのはほんの一握りです。
しかし、「アンケートからわかった年収が高いwebデザイナーの特徴」で述べたような条件を満たしている場合は、会社員で働くよりむしろフリーランスとして独立した方が稼げるかもしれません。
まとめ
以上、現役webデザイナー目線での切り口で平均年収の集計・分析を行ってみました。
webデザイナーの平均年収は全体的に低いと思われがちですが、しっかりとスキルをに見つけ、webデザインより業務の幅を広げることができれば高収入を望めます。
未経験の方は、おそらくどの会社に入社できたとしても最初はあまり高い給料ではないかもしれませんが、下積み、スキルアップのための期間と考えてとにかく勉強することに注力しましょう!
ご覧いただきありがとうございました。